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Artist statement / 2025.04

違いと記憶

「違い」を分かっていないことがよくある。ろくに観察をしていないとか、単なる知識不足だとか、集中していないとか、ほとんどはそんな他愛のない理由なんだろうと思う。だから似たような事に感動したり、初めての事を見過ごしたりもする。「違い」に気がついても忘れてしまう事が多く、タチが悪い。

2022年の初秋、北海道で撮り溜めた景色の記録を、メモリーカードごと失った。それは単に記録を無くしたという事実に留まらず、五日間の経験そのものまでも欠いてしまったかの様な感覚を伴うものだった。

幼い頃、絵画教室で「キャンバスの目が見えなくなるくらい、厚く絵の具を塗り重ねようね」と繰り返し言われた。私にとって「絵の具を塗る」という行為は、「何かを覆い隠す」という自身の欲求を孕んでいるものなのかもしれない。