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作品 / 恐竜の置物

《恐竜の置物》

2023–2024

北海道を旅したとき、風景の多くをカメラ越しに見ていた。その記録を失うと、目の前にあったはずの場所が急に遠のいた。自分の目と身体でどこまで風景を経験していたのかも分からなくなった。

この経験から、まず北海道を象徴する木彫りの熊を厚い絵具で覆い、その後、恐竜のフィギュアへ対象を移した。誰も本当の姿を見たことがない恐竜は、想像された姿だけが広く共有されている。絵具を重ねると、もとの色や表情が隠れ、表面の形や手触りも曖昧になる。絵具で見慣れた物の姿を覆うことは、実物を見ることと、像を通して知ることの間にある距離を立体として扱う方法でもある。

ART WORKS
恐竜の置物
制作年
2023–2024
素材・形式
エフェクト顔料、アクリル絵の具、恐竜フィギュア
寸法
寸法可変(80–200体)
画像使用
複製前にお問い合わせください

Text

制作ノート

覆う

北海道を旅した際、滞在中に撮影した写真データを帰宅後に失った。風景をカメラを通して経験していた私にとって、写真を失うことは、その風景を経験したという感覚まで失うことにも思えた。実際に目の前にあったはずの風景から、自分が遠く離れてしまったように感じた。

その距離を確かめるように、まず北海道を象徴する木彫りの熊を厚い絵具で覆った。その後、より本質的にこの問題を扱うため、対象を恐竜のフィギュアへと移した。誰も実際の姿を見たことがない恐竜は、想像によってつくられた像を私たちが共有している存在でもある。

既製の像を絵具で覆うことを繰り返しながら、経験したものと自分の中に残るイメージとの距離を辿っている。これらの立体作品も、私自身は「絵具を塗る」という行為から生まれた絵画として考えている。