2021年、奈良県天川村で開催された「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」への参加をきっかけに、人が目の前の「景色」をどのように「風景」として認識するのかを考えた。地域にまつわる様々な話を聞く中で、その方法の一つとして「見立て」という行為に着目した。「見立て」によって、見知らぬ「何か」は特定の「何か」として認識され、意味を持ちはじめる。
私はこの場所に、古くから人々が行き交い、親しみ、畏れてきた天川の山々を見た。縦に伸びる木々や苔むした倒木を山脈に見立て、森の中に複数の色面を配置した。緑から青、白へ移るグラデーションは、山、空、雨上がりの森から立ち上がる水蒸気やもやを抽象的に表している。