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洞川で場所を知る

2021–2023

2021年、奈良県天川村で開催された「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」への参加をきっかけに、人が目の前の「景色」をどのように「風景」として認識するのかを考えた。地域にまつわる様々な話を聞く中で、その方法の一つとして「見立て」という行為に着目した。「見立て」によって、見知らぬ「何か」は特定の「何か」として認識され、意味を持ちはじめる。

私はこの場所に、古くから人々が行き交い、親しみ、畏れてきた天川の山々を見た。縦に伸びる木々や苔むした倒木を山脈に見立て、森の中に複数の色面を配置した。緑から青、白へ移るグラデーションは、山、空、雨上がりの森から立ち上がる水蒸気やもやを抽象的に表している。

《奥の稜線》以降も洞川を訪れ、雨上がりの山から立ち上がる水蒸気やもやについて考え続けた。山を歩く中で、木々や苔、石、土から水分が立ち上がり、自分の身体からも同じように水蒸気が生まれていることに気づいた。

対話を重ねる中で、空気に含まれる水分は「波」のように震えながら身体の表面=肌に触れ、私たちはその感覚によって、自分がいる場所を認識しているのではないかと考えた。

本作では、洞川の山々を示す等高線を「波」として、建物のガラスに直接描いた。ここでの「表面」はガラスではなく、環境に触れる私たちの身体の表面を意味している。